タイで会社を作るにはどうしたらいい?-『起業ナビ』

会社設立のエキスパートが教える“起業術”

サワディカップ ナビ吉です。
現在は日本に住んでいながらも、タイの魅力、面白さ、快適さなど『タイ』に魅せられた人は多いことと思います。出来るならば住んでみたい、暮らしてみたい、生活してみたいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし人が人として生きていくにはやはり「収入」が必要で、この「収入」を得る方法としては就職が最も手っ取り早い手段、しかし自分には「腕」がある、「経験」や「知識」がある、だから目指すは一国一城の主=「社長」になってタイでビジネスを営んでみたい!と考えられる方も沢山いらっしゃることと思います。ですが「まず何からやればいいんだろう?」とか、「タイで会社を作るって大変じゃない?」とか考えられる方もいますよね。そこで今日は、ナビが普段御世話になっているタイの弁護士事務所に協力を仰ぎ、タイでの「会社設立→起業」までの一般的な過程を説明してみたいと思います。

まずは何から?


ここは一旦、話を少し進めて、既にやりたい事、事業内容がほぼ決まっていることを前提に話をします。まずは何をするのでも「会社」が無ければ事務所を借りることも難しい契約社会、そこで会社を作るためのステップから入りましょう。

タイの法律


2009年6月現在、資本金が1億バーツを超えるような大企業で無い場合、100%日本側出資の会社を作ることはできません。すなわち日本人を含め外国人がタイで会社を作るには出資比率が外国側49%、タイ側51%の合弁会社を作る必要があります。従ってタイ人もしくはタイの法人のパートナーを探さなければなりません。

資本金


あくまで一般的な会社=企業の起こし方ですが、初めに資本金の額を決めます。
外国人が現地で労働許可証を申請し、法律に基づいた形で業務を行う場合、1名に付き200万バーツ(日本円約560万円)の資本金が必要です。また当初は登記資本金の25%を払い込む必要がありますので、外国側、タイ側併せて140万円前後の現金が必要です。
これは外国人の人数によって倍数化されますので、3人が働くとなると3倍の金額が必要になります。資本金は使用制限が特にありませんので、会社の登記、登録、オフィスの家賃、従業員の給与等、企業活動に必要な経費全てに使用することが可能です。

株主


以前は企業の株主には最低7名が必要とされていましたが、現在では法律が改訂され、3名(法人を含む)が株主である必要があります。例を挙げればタイ人2名、外国人1名、又はタイ人1名、タイの企業1社、日本人1名のようなパターンとなります。そして前述のようにタイ側が51%以上の株を取得しているという申請をすることが必要です。

オフィス探し


資本金も揃い、株主も見つかりました、これで次のステップに進むことができますね。会社でも店舗でも仕事をする「場所」を確保しなければなりません。オフィスを例に挙げれば会社登記できるビルもあればできないビルもあります。これはその物件の持ち主に確認しなければなりません。住宅兼オフィスなどと言う場合、住宅として居住するのは問題ありませんが、会社の所在地として登録できない物件もあります。しかも書類はほぼ全てタイ語ですので、きちんと書類を読んで正確に訳してくれる人を探しましょう。物件には問題ない場合でも、未だ会社の登記が済んでいない旨をはっきりと告げ、当初は個人名義で仮契約、後に会社として正規契約などといったプロセスを確認することも必要です。できれば、弁護士など信頼できる人に依頼、介入してもらうのがベストでしょう。

社名選択

弁護士であれ、エージェント、コンサルタントであれ、会社登記の際に必ず聞かれるのが社名、そう会社の名前です。海外で設立する会社ですので基本は英語名、訳したタイ語のタイ語名をつけることになります。候補を3つほど挙げ、事前に同じまたは類似の会社名が存在するか確認し、存在しない場合許可が降ります。許可が降りた後、30日以内に登記申請をしないと取り消されてしまうので、あまりのんびりはしていられません。また日本語、あるいは英語の社名の中にタイ人には発音しにくい音が含まれることがあります。登記上の問題はありませんが、ビジネスの相手が覚え易い名前が良いかと思います。

スタンプ作成

サイト名まで載せて使用不可になったスタンプ

サイト名まで載せて使用不可になったスタンプ


会社名が決定すると同時にスタンプの製作が必要になります。ここでいうスタンプは勿論切手ではなく、ハンコのことを指します。スタンプのデザイン、フォントに厳しい規制はありませんが、基本的に文字は社名のみ、これにロゴがあればロゴを追加し、最低2個作ります。タイは小切手や書類に代表者のサインとスタンプの両方を必要とする国ですので、スタンプはとても頻繁に使用します。作成は街中で簡単にできますので、名刺とともに発注する方が良いでしょう。

定款作成


次にその会社が何をする会社なのかを決める必要があります。ビジネスの内容と言えば良いでしょうか。工業、商業、サービス業などといった業務の種類から始まり、ビジネス対象のエリア、業務の具体的な内容などなど、企業の業務内容を定義しなければなりません。
後に新たなビジネスを展開しようとする場合など、定款に定められていない事業を展開しようとするとこの定款を改定しなければなりませんので、弁護士と相談し、多めに設定しておくのも良いかと思います。

登記申請


会社登記申請に必要なものはほぼ揃いました。ここからは弁護士やエージェント、コンサルタントと細かな取り決め事を相談しつつ決定していきましょう。規定があるもの、無いものがありますので、プロと進める方が簡単です。どのような内容があるかと言うと
1.株券の額面決定(1株あたりの金額、一般的には100、1,000バーツといった単位です。)
2.発起人の選定
3.役員、外部取締役の選定
4.スタンプ(印鑑)の登録
などが主なところです。
ナビが御世話になっているサハカーン法律事務所

ナビが御世話になっているサハカーン法律事務所

日本語での問いあわせは下記メールアドレス参照

日本語での問いあわせは下記メールアドレス参照

登記完了

必要なステップを終了し、会社登記が完了します。この段階で会社の身分証明書である登記簿が出来上がりますので銀行での口座開設が可能になります。一般的には普通預金、小切手を振り出せる当座預金の2種類を開設します。また会社の従業員に対し正規の給与を払うことができるようになるのと同時に納税の義務が発生します。


税務登記と各種ライセンス申請

バンコクナビの旅行業の許可証

バンコクナビの旅行業の許可証

会社の登記が完了すると次に納税証明のための税務登記、更にビジネスの内容によって各種のライセンス登記が必要になります。ライセンスは具体的に言うと旅行業であるならば旅行業ライセンス、飲食業ライセンスなど業務内容によって様々です。旅行業などは管轄の役所に対しデポジットを払う必要がありますので、事前に調べてもらいましょう。

VISA 、労働許可証申請

外国人がタイで働くためには労働ビザ(通常Bビザと呼ばれています)と労働許可証(ワークパーミット)が必要です。それぞれ管轄機関が異なりますので、まずはBビザの取得、次にワークパーミットの取得という手順になります。会社の申請から登記完了、ビザ取得までは1ヶ月以上時間がかかることもありますので、日本を出発の際、一度観光ビザ等を取得して来られるか、あるいは30日の滞在期間を過ぎる前に一度出国するかになります。ビザと労働許可証が降りた後は個人名での銀行口座開設も可能になります。

整理してみましょう

簡単に説明するとこのような流れになりますが、これ以外に事務所が見つかるまでの活動拠点探し、現地スタッフの求人、採用、備品の購入、などなどいくつかのことを同じタイミングで進めていかなければならいこともあります。
一番大事なことは信頼できるコンサルタントや弁護士を探すことなのですが、それが一番難しいところでもあります。バンコクナビでご紹介できる法律事務所として
Sahakarn Law Office(サハカーン 法律事務所)
電話番号:02-954-3090~4(日本語不可)
日本語対応メールアドレス: sahakarn_lawoffice@yahoo.com
がありますので、興味のある方は相談してみてはいかがでしょう。ただしなるべく具体的な条件として
1.事業内容
2.準備できる資本金の額
3.事業を行う場所
4.タイ側パートナーの有無
5.開業希望時期
は明確にしておくことをオススメします。

以上ナビ吉レポートでした。

その他情報

レポーター: ナビ吉  年齢: 40歳〜 出身地: 東京 滞在歴: 通算13年になりました。 趣味: 水泳・・・かな シリーズ名: 格闘技と犬をこよなく愛すバンコクナビ社長 
関連タグ:起業就職ビジネス

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-06-26

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