イベントレポ「Planet Ocean」

海から見る地球環境への“気付き”。屋外での長期写真展示イベント。

サワディーカップ! バンコクナビです。
2008年6月5日より約2カ月間、BTSチッドロム駅そば、ラチャプラソン交差点のセントラルワールドで開催されていた写真展、「Planet Ocean: Voyage to the Heart of the Marine Realm(以下Planet Ocean)」。8月12日に最終日を迎え、無事終了しました。
残念ながら見損ねてしまった方に少しだけご紹介します。

フランス文化祭“La fete”の一環

在タイ・フランス大使館はタイにおける美術、音楽、料理などのフランス文化を紹介するイベント「French Thai Cultural Festival(la fete)」を例年、大々的に開催、今年も8月14日の閉会式までに様々なイベントが行われ、バンコクの街を彩ってきました。


毎年、大きな反響を呼ぶ写真イベント

中でも、毎年催される写真展は大反響で2008年のヤン・アウテュベルトラン(Yann Arthus-Bertrand)氏の写真展「Earth from Above」も記憶に新しいところです。
昨年の「Earth from Above」では空から見た地球の素顔・人々の日常にスポットを当てましたが、それに呼応するかのように開催された今年の「Planet Ocean」展では、海中にスポットを当て、海洋生物学者でもあり水中写真家でもあるローラン・バジェスタ(Laurent Ballesta)さんの作品に注目。氏の著作「Planet Ocean: Voyage to the Heart of the Marine Realm」からより抜きの88点を、セントラルワールド南側、ZENデパート前の一角を利用して大々的に展示しました。
綺麗な海を守るための提言

綺麗な海を守るための提言

ちなみに、今回の屋外写真展“Planet Ocean”は在タイ・フランス大使館とZenおよびセントラルワールドによるジョイント・イベントで6月5日の「地球環境デー」のイベントを兼ねたものでもありました。そのため単なる水中写真ではなく、ここ数十年叫ばれている、環境破壊、海中汚染、食糧問題などへの啓蒙を含んだ非常にメッセージ色の強い展示となりました。
それぞれの写真には英語とタイ語でタイトルと説明が併せて表示されており、風刺に富んだ、いかにもフランス人らしい説明がなされています。
写真の下には英語とタイ語でキャプションが記されています 写真の下には英語とタイ語でキャプションが記されています

写真の下には英語とタイ語でキャプションが記されています

海の美しさ、偉大さを表すものもの、人間の業の深さを感じさせるものなど様々な感情やメッセージが写真から滲み出てくるようです。
それらの中でもメッセージ色の強いものを掻い摘んでご紹介します。
「STOP SHARK FINNING!」フカヒレのために多くのサメのヒレだけが狙われているそうです

「STOP SHARK FINNING!」フカヒレのために多くのサメのヒレだけが狙われているそうです

「THE OCEANS, THE ULTIMATE WASTE BIN」フランス領ポリネシアで海底に打ち捨てられたオートバイ。“海は究極のゴミ箱”言いえて妙です

「THE OCEANS, THE ULTIMATE WASTE BIN」フランス領ポリネシアで海底に打ち捨てられたオートバイ。“海は究極のゴミ箱”言いえて妙です

「THE SHOCK OF COEXISTENCE」海上輸送で船のスクリューで傷つけられ、打ち上げられた鯨。人類にとって欠かせない海上輸送。事故によるオイル漏れなどは様々な被害を引き起こします

「THE SHOCK OF COEXISTENCE」海上輸送で船のスクリューで傷つけられ、打ち上げられた鯨。人類にとって欠かせない海上輸送。事故によるオイル漏れなどは様々な被害を引き起こします

「FINAL DESTINATION OF ALL OF OUR POLLUTION」人類が生み出した汚染物質は最終的には海に行き着くのだそうです。現在、発展途上国の出す排水の90%、工業排水の70%が無造作に海に流れ込んでいるとのことです

「FINAL DESTINATION OF ALL OF OUR POLLUTION」人類が生み出した汚染物質は最終的には海に行き着くのだそうです。現在、発展途上国の出す排水の90%、工業排水の70%が無造作に海に流れ込んでいるとのことです

「FALSE GOOD IDEA」1970年代から80年代にかけて、人口の漁礁として古タイヤを海に沈めることがポピュラーだったそうです。しかし、少しずつ分解される汚染物質のおかげで漁礁としては全く機能しなかったというお話

「FALSE GOOD IDEA」1970年代から80年代にかけて、人口の漁礁として古タイヤを海に沈めることがポピュラーだったそうです。しかし、少しずつ分解される汚染物質のおかげで漁礁としては全く機能しなかったというお話

「BLIND FISHING」網にかかってしまった子供のイルカ。ウミガメや海鳥なども誤って網に掛かってしまうこともありますが、その多くは怪我をしていようと、弱っていようと無造作に海に捨てられてしまうといいます

「BLIND FISHING」網にかかってしまった子供のイルカ。ウミガメや海鳥なども誤って網に掛かってしまうこともありますが、その多くは怪我をしていようと、弱っていようと無造作に海に捨てられてしまうといいます

他にも、海の中の驚くべき姿が数多く紹介されていました。
海洋生物の様々な生態や容姿。コミカルなものも数多く展示されていました 海洋生物の様々な生態や容姿。コミカルなものも数多く展示されていました 海洋生物の様々な生態や容姿。コミカルなものも数多く展示されていました

海洋生物の様々な生態や容姿。コミカルなものも数多く展示されていました


人との触れ合い、接近遭遇は見ているほうがドキドキします 人との触れ合い、接近遭遇は見ているほうがドキドキします 人との触れ合い、接近遭遇は見ているほうがドキドキします

人との触れ合い、接近遭遇は見ているほうがドキドキします

魚類だけではなく、爬虫類や甲殻類、哺乳類、植物も含め数多くの生物が海を棲家にしていることに気付かされます 魚類だけではなく、爬虫類や甲殻類、哺乳類、植物も含め数多くの生物が海を棲家にしていることに気付かされます
魚類だけではなく、爬虫類や甲殻類、哺乳類、植物も含め数多くの生物が海を棲家にしていることに気付かされます 魚類だけではなく、爬虫類や甲殻類、哺乳類、植物も含め数多くの生物が海を棲家にしていることに気付かされます

魚類だけではなく、爬虫類や甲殻類、哺乳類、植物も含め数多くの生物が海を棲家にしていることに気付かされます

この場で全てを余すことなくご紹介することはできませんが、雰囲気を掴んで頂ければと思います。ちなみに、バジェスタ氏の著作「Planet Ocean: Voyage to the Heart of the Marine Realm」は写真集ですので、洋書店やAmazonなどのインターネット書店から購入することが可能です。見ているだけでも楽しいこれらの写真が収められた写真集、実際、セントラルワールドの書店でも好調な売行きだったそうです。

地球の7割を占めると言われる海をテーマに世界中を駆け巡って撮影されたこれらの写真、見ごたえ充分かつ、地球環境への提言も併せて行われたこともあり非常に興味深いイベントになりました。
全てが全て正しいと思える解説ではないと感じましたが、それでもバジェスタ氏の熱い想いは伝わった気がしますし、今回の展示を見た多くのタイ人、各国の人々の心に何かしらの問題提起がなされたのではないかと思います。

以上、バンコクナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-08-20

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