大使館からのお知らせ 11/8

国際緊急援助隊上水道施設対応チームによるバンコクの水道水の水質の状況等に関する説明について(2011年11月8日)

以下在タイ日本国大使館からの情報です。
国際緊急援助隊上水道施設対応チームによるバンコクの水道水の水質の状況等に関する説明について
平成23年11月8日

1. 10月25日(火曜日)、我が国政府は、タイにおける洪水被害に関し、国際緊急援助隊専門家チームの一環として、上水道施設対応チーム(次の2名)を派遣することを決定しました。

孝石 健   大阪広域水道企業団村野浄水場浄水調整課主査

森田 和城  大阪広域水道企業団庭窪浄水場浄水管理室庭窪管理課主査

2. 上記の上水道施設対応チームは、10月26日にバンコクに到着し、上水道施設の洪水時の運転・維持管理につき指導・助言を行ってまいりました。その結果を踏まえ、11月4日(金曜日)に、上記の上水道施設対応チームより、バンコクの水道水の水質の状況等について説明がありましたので、その内容を掲載いたします。

なお、本上水道施設対応チームは、11月8日に日本に帰国する予定です。また、後任の上水道施設対応チームは、11月6日にバンコクに到着しました。

○ 多くの日本人が居住するバンコクのチャオプラヤ川の東側を念頭に申し上げれば、当該地域はバンケン浄水場から送水されており、現時点では水道水は安全であるといってよい。

○ 首都圏水道公社(MWA)は、水道水の水質については世界保健機関(WHO)の基準に従っている。首都圏水道公社は、水質検査の細かな項目については、先週(10月23日の週)の時点で外部に委託して試験を行い、問題ないことを確認している。また、首都圏水道公社は、自身のラボラトリーで測定できる水質検査の項目については、頻度を上げて測定を行い、日々の水質管理に努めている。

○ 水道水に色がついていると言われているが、通常より色が濃くなっていることは事実であり、その原因は、主に鉄、マンガンである。これらの物質は、人間が食物から摂取することが必要とされているものであり、色がついていること自体は飲用に安全か否かを決定づけるものではない。一方、洗濯物に色がつく可能性はある。首都圏水道公社は、水道水に色がつかないように努力しているが、現在の設備ではこれが限界である。

○ 水道水がカビ臭いと言われているが、その原因は、ある種の植物プランクトンである。通常、水道水は川から水を採っているのであるが、今回の洪水で、いわば湖に近い状態となり、そのような水の流れの滞留する場所では植物プランクトンが繁殖しやすい。このカビ臭い水は、快適に使用できるものではないが、カビ臭をもって危険というわけではない。

たとえば、15~20年前の日本でも全国的に、特に霞が浦近辺の水道事業体、琵琶湖水系の水道事業体において、夏になると水道水がカビ臭いことが問題となっていたが、それが原因で健康を害したという話は聞いていない。

○ 現状では、バンケン浄水場の水道水の水質はコントロールされている。しかしながら、水道水の原水として使用しているプラパー運河の周辺の堤防が住民によって破損され、原水水質が悪化するといった事態が現実に起きており、今後の事態の推移は予断を許さない。また、原水の溶存酸素量が低いことについて懸念している。

○ 水道水について、浄水場ではきれいであっても、水道管を通って来る間に土中の成分を含む汚水が混入する可能性はないのかという点について説明したい。

水道管は、まず幹となる管があり、そこから徐々に枝分かれをしていき、各家庭などの蛇口(給水栓)に水が配られる形になっている。幹となる管においては、漏水があるとは通常考えられないが、仮に漏水があったとしても、水道管内部には相当の水圧がかかっており、土中から水道管に向かって汚水が混入してくるとは考えづらい。

また、首都圏水道公社は、幹となる管については、装置を設置して、消毒効果のある残留塩素の濃度が保たれているかを定期的にモニタリングしている。外部から水道管に汚水が混入した場合、残留塩素の濃度は通常よりも大きく減少するが、首都圏水道公社のモニタリングの結果によれば、そのようなデータは出てきていない。当該モニタリングの結果は、首都圏水道公社のホームページに掲載されている。

一方、水道管の枝葉の部分については、全ての蛇口(給水栓)をチェックすることは不可能であるが、首都圏水道公社は、主要なポイントごとにチェックしており、問題は見つかっていない。

○ 洪水によって水道管に汚水が混入するリスクが高まるのかという点については、水道管の周囲が洪水による水で満たされ、その水の水圧が水道管の水圧を上回るような事態が生ずるか否か、あるいは土壌汚染の有無にもよるが、現時点で首都圏水道公社が把握している限りでは、そのような事態は起きていない。

○ 水道水の鉄、マンガンがどこで混入したのかという点については、はっきりしたことはわからない。鉄、マンガンの濃度に関し、通常時の原水については十分なデータを有していないが、水道水では通常より多く含まれていることがわかっている。

○ 工業団地を通過して流入してくる洪水から、仮に重金属が検出された場合には、住民に危険をアナウンスするような仕組みになっているのかという点については、首都圏水道公社はこうした点を含めてモニタリングを行っており、万が一、重金属が検出された場合には、住民に危険をアナウンスする仕組みになっている。当方からも、毒物が検出された場合の住民へのアナウンスの重要性について、首都圏水道公社に念押ししている。

○ 洪水によって冠水した工場で水道が止まっている場合に、復旧時における問題については、北部の工業地域は首都圏水道公社の管轄ではないのではっきりしたことが言えないが、首都圏水道公社の管轄地域であれば、通常時ではまず試験的に水道管に水を流し、問題がなければ送水を再開するという対応を取っており、当該地域でも同じような対応が取られるのではないかと考える。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-11-09

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