ラーマ5世が実際に住まわれた『雲の上の』宮殿。世界的にも珍しい、総チーク材の瀟洒な宮殿です。
サワッディーカー、バンコクナビです。
バンコクの西側にあるドゥシット地区は、王室関係者の邸宅や官公庁舎がならぶ、いわばタイ国の政治の中心地。その歴史はラーマ5世の統治時代に遡ることができます。ラーマ5世といえば、現プミポン国王と並び、時代を超えてタイ人の篤い尊敬を受ける王様。タイのことを深く知るにはその歴史から、ということで、今回ナビはラーマ5世が実際に住まわれていたという、ウィマンメーク宮殿に行ってきました。
● 場所
ウィマンメーク宮殿があるのは、旧国会議事堂やドゥシット動物園などがある、広大なドゥシット地区の一角。入り口が分かりづらいので、タクシーを使うのがおすすめです。
● 入場
入場料は、100バーツです。正面を入って左側にあるチケットオフィスで購入します。園内はとても広いので、ところどころにある標識で位置を確認しながら向かいましょう。
ウィマンメーク宮殿
入場時の注意
ウィマンメーク宮殿の入り口に到着です。さっそく見学…とその前に注意。王室関連の建物に入る際は、だらしない服装では認められません。短パンで来てしまった場合には、足を隠す布(デポジット200バーツ、退場時に返却)を貸してもらえます。宮殿内には、かばん・カメラ・携帯電話・ペットボトルの持ち込みは禁止。持ち物は、財布を残してコインロッカーへ。ロッカーの使用料は1回30バーツです。
また、ウィマンメーク宮殿ではタイ語または英語のガイドがついた無料の宮殿内ツアーが、30分ごとに行われています。(タイ語:9時30分~午後3時、英語:9時45分~午後3時15分)
いよいよ入場
受付を通り過ぎると、いよいよウィマンメーク宮殿がその姿を現します。『雲の上』という意味を持つウィマンメーク宮殿。1階の一部分にレンガが使用されてはいるものの、ほぼ総チーク材の3階建ての建築物というのは、世界的にもたいへん希少価値が高いのだとか。ラーマ4世のご子息ナリッサラーヌワッティウォン親王によって設計された、タイ風と西洋風が折衷された建築法はとても粋です。ラーマ5世はこの八角形の部分に住まわれていたのだそうで、中はどうなっているのか興味が沸きます。宮殿内は土足厳禁。1階部分でくつを脱いでから表の階段を上がって、宮殿の中に入ります。
1階・2階
1階と2階部分には、応接室や官僚を集めて話をする部屋などが続きます。
ここでウィマンメーク宮殿の歴史をなぞってみましょう。西暦1897年(仏歴2440年)に、国王ラーマ5世はこのあたり一帯の土地を庭園とし、ドゥシット園と名づけました。ウィマンメーク宮殿は、西暦1902年にドゥシット園に建てられた宮殿で、ラーマ5世はここに6年間住まわれましたが、崩御後に宮殿は閉鎖されました。その後、シリキット王妃(プーミポン現国王の后)の手によって修復され、1983年に博物館として公開され今に至ります。
内部は当時の様子が残されていて、100年前のタイ王国にタイムスリップしたような気分になります。
奴隷制度の廃止や学校教育の確立など、革新的な政治手腕を発揮したラーマ5世は、多趣味で知られています。というわけで宮殿内には王のご趣味のお部屋もいろいろ。ピアノ部屋や狩猟部屋、星を見るお部屋まであり、天体望遠鏡が置かれています。お隣のお部屋には、当時かなり珍しかったであろうミシンもありました。
ラーマ5世の使用した身の回り品や写真などのほかにも、中国、ヨーロッパ、日本等から集めた銀製品、ガラス製品、陶磁器、象牙等の美術・工芸品が展示されています。
3階
3階は、王様のプライベート空間。寝室や執務室、支度部屋や浴室などがあります。タイではじめてシャワーが導入されたのが、このラーマ5世の浴室なのだそう。
王室関係者用と軍関係者用の階段が別々になっていて、王室関係者用の階段は赤いじゅうたん張り、一方軍関係者用の階段は板張りでしかもすぐに上がって来れないように傾斜が急になっていて、ここでも王家の威厳を感じたナビでした。
離れ
離れ部分になっているここは、その昔王様のご友人達が船に乗って訪問された時に使われた船着場なのだそう。風流ですね。
● そのほかのみどころ
敷地内には、ウィマンメーク宮殿のほかにも記念館や博物館がいろいろあります。その中から特に見ごたえのあるものをご紹介します。
王室記念写真博物館100年前当時のタイ軍隊の制服や現国王プミポン国王が出家された際に用いた仏具など、たいへん貴重な展示品ばかりです。
馬車の展示
王室記念写真博物館のまわりをコの字型に取り囲んでいるのが、当時使われていた馬車やセレモニーに使われる馬車など、馬車ばかりを集めた展示。幌付きや鉄製など、見た目もさまざま。王様はこれに乗って移動されていたんだなぁと歴史の重みを感じます。それぞれの馬車に英語の説明が付いています。
古時計博物館
こちらは、アンティークの時計ばかりを集めた博物館。壁時計のかちかちという音は、不思議と心を落ち着かせます。2階には、日本から寄贈されたという市松人形が飾られている部屋もありました。
いかがでしたか?
ラーマ5世の存在感をそこここに感じられるウィマンメーク宮殿。歴史の重みと、宮殿をとりかこむ緑いっぱいの敷地の開放感があいまって、一種独特の雰囲気につつまれていました。
以上、バンコクナビがお伝えしました。