パタヤで2008年秋にオープン以来、観光客のみならずタイ人にも人気の水上マーケット。
サワディーカポム バンコクナビです。
タイは日本の1.3倍強の国土(51万3千㎡)に対して人口は約半分(6,300万人)、バンコクを中心としたタイ中部やその東部はほとんどが平地で、数字の上で見る以上に広大な土地がまだまだ手付かず(手付けず?)の状態で残っています。
とはいえ、観光立国を自称するタイ王国、近年では盛んに観光開発も進められています。
今回、紹介する「パタヤ フローティングマーケット」もそのひとつ。パタヤのスクムビット通りは少し郊外へ離れると一気にタイの田舎ならではの鄙びた雰囲気に包まれます。パタヤ市街地から郊外へ約10分、10年前は湿地だったと言われる場所を見事に再開発し、昨年10月のオープン以降、押しも押されぬ一大観光スポットへと急成長しました。
コンセプトは「古きよきタイを凝縮」といった感じでしょうか。ノスタルジックでありながらどこか現代のお洒落さも併せ持った建物で構成されるマーケットエリアは海外からの観光客だけでなく、地元タイ人にとっても魅力のようで平日でも1000人以上、連休になると5000人近くが連日訪れると言います。その魅力は何なのか、ナビなりに探してみました。
地域密着・共生型のマーケット
観光地としての「水上マーケット」を期待して訪れた人はもしかしたらガッカリしてしまうかもしれませんが、これが今現在のタイ政府、パタヤ市が進める「タイ人も楽しめる観光地」のモデルケースです。
タイの水上マーケットを含む外国人向けの観光地というと、とかく観光スポット化して、やたらと出費が必要で何かを買おうと思ったら相場を無視した値段設定だったりしがちです。ところが「パタヤ フローティング・マーケット」は入場無料なのはもちろんのこと、中で売られているものもごくごく普通のお値段。
ペットボトルの水だって10バーツで買えてしまいますし、ラーメン1杯が30バーツ程度と、もはやバンコクの屋台よりも安いのではないかと思えるような良心的な値段設定。もちろんキレイなトイレも無料です!
「海外からの(お金持ちな)観光客だけではなく、地元パタヤやバンコクから遊びに来たタイ人にも気持ちよく過ごして欲しい」というオーナー以下、運営者の気持ちがこめられています。
マーケット内で船に乗って移動する分には200バーツ掛かりますが、桟橋伝いに歩いて周る分には「好きなところへ好きなだけ」行くことができます。実際、訪れるタイ人の多くは「ブラブラして、写真を撮って、ご飯を食べて、1、2品買って帰る人がほとんど」だそうで、運営側もそれ以上は求めていないとのこと。
「テーマパークのような非日常的な施設ではなく、人々の日常にさりげなく存在する普通の“市場”であることが長続きするコツだと考えています」との運営者の隠れた思いが込められています。
4つのゾーンに分かれたマーケット
「パタヤ フローティング・マーケット」は全体をタイの国土に見立て「北」「中央」「東北」「南」の4つのエリアに分け、それぞれの水上に建つ建物の間を桟橋で繋いでいます。見分け方は屋根についた飾りの形状。それぞれに異なった飾りがついており、各エリアの入り口にはそれぞれ門が設置されているので、待ち合わせのときや迷ったときの目印として重宝しそうです。
左から北部、中部、東北部、南部。それぞれ屋根の飾りに特徴があります。
定番ショップ「Miss Lanna」
マーケット内には、その4つのエリアに所狭しと様々な雑貨店、飲食店など114店舗(2009年3月現在)が軒を連ねています。また、水路には小船を浮かべて商売する水上マーケットならではの光景も目にすることができます。
「さぞかし珍しいものが…」と期待する人もいるかもしれませんが、「ここにしかない特別なもの」と言えば、フローティングマーケットのロゴが入ったTシャツくらいで、OTOP(タイの一村一品運動)から生まれた各地の特産品なども含めて、巷の大きめのおみやげ物屋さんでも充分手に入りそうなものがほとんど。値段も最後は交渉制ですがあくまでタイ人価格です。
何せ、ナビの「一番人気のショップは?」との問いに、
「20ショップ(5袋100バーツのお菓子屋さん)」という答えが返ってくるほどの超庶民派マーケットなのです。とはいえ、これでは何の芸もない土産物屋のように感じるでしょうから、ナビが酷暑の中を踏破してピックアップしてきた、ショップをいくつかご紹介しましょう。
ナビのオススメPick Up!
顔の産毛とり
ローカルコスメとでも言うんでしょうか。バンコクの中華街、ヤワラートの道端に座ってやってる人を良く見かけていましたが、さすがにトライできなかったナビ。それをやってくれるお店を発見。顔に「床屋の香り」がする粉を塗って、木綿糸をリズミカルに動かしながら顔の産毛を抜いていきます。産毛を「抜く」だけあって、多少痛い場合もありますが、仕上がりは上々。肌に残るのは糸でも抜けないくらい細くて短い産毛のみで、しかも1回150バーツ。
5袋100バーツ、お菓子ビュッフェ(?)
「Twenty Shop」には所狭しと並べられた、タイのお菓子やドライフルーツがどれでも5袋100バーツ。マーケット内で人気No.1のお店です。それぞれ、タイならどこにいても手に入る定番ですが、店内はタイ人のお客さんがいっぱいで、みんな車で来ているだけあって車内でのおやつに持って来いというところでしょうか。
食事はコチラ。安い! 旨い! 分かりやすい!
カノムチン(タイの素麺に近い米の麺)を1皿食べ放題でなんとたったの30バーツの「カノムチン4パーク」。
麺とグリーンカレーや魚の塩辛などで作った5種類の甘辛いスープ、キャベツ、モヤシ、バジル、インゲン豆などの生野菜を1回だけですが皿に「積めるだけ(?!)」頂けます。レストランのサラダバーなどで「何往復もするのが恥ずかしいから」と、見事な“山盛り”を実現するタイ人の本領発揮で、周囲のタイ人はみんな超特盛状態、感心します。ちなみにコツはキャベツなどの嵩(かさ)が張るものをまず積んでその上から熱々のスープをかけて圧縮し、それから嵩張らないものを下からジックリ積んでいくコトだそうです。
ちなみにお味のほうもバッチリ。カノムチンにはちょっとうるさいナビでも納得の味でした。
陽気なオーナーのウォラネートさんは環境エンジニアが本職。まさにサイドビジネスでこの店を経営しており、「儲かるねぇ~」とニコニコ顔。何はともあれ、お食事にはオススメです。
タイの職人の技に感心
少しは文化的なものをということで、「1 サイアム・ミュージアム(Nueng Siam Museum)」をご紹介。
中にはタイ人にも尊ばれるヒンズー教の神様「ガネーシャ」の手彫りの見事な本尊を中心に様々なレリーフや彫刻が並びます。一木造りの仏像など多くは仏教を象ったもので、ミュージアムというよりお寺のような厳かな雰囲気です。
その他、マーケット内をサラリとご紹介
マーケット内でのイベントや出し物も盛ん
平日は1日に1回程度ですが、週末や休日には1日に4回程度4つの各エリアでタイダンスの披露が行われます。タイの民族衣装で着飾った踊り子さんが、それぞれのエリアに応じて異なったダンスを披露します。
また、「モエイナーム」と呼ばれる水上ボクシング大会も開催されます。この日は子供同士の対決、水上に渡された細い土台の上で殴りあうはずなのですがその前にバランスを取れず落水する選手が続出。観覧客も大爆笑です。
ちなみに、エントリーは常時受け付けていますので、腕に覚えのある方は参戦してみてはいかがですか? 要綱には「15歳以上の健康な男性、各階級で応募可、勝者にはチャンピオンベルトと豪華商品多数」とだけ書かれています……。
敷地内で養う仔ヤギと触れ合えるエリアでは子供も大人も大はしゃぎです。哺乳瓶(ミルク入り20B)を見つけると仔ヤギが殺到、癒されまくりです。実家が農家のナビは普通に指をしゃぶらせて遊びながら撮影。タイでも都会っ子には驚きらしくヤギには上の前歯がない事と仔ヤギだから顎の力も強くない事を教えても「痛くないの?」と興味津々。係員の目が少しイタかったです。
環境への配慮にも抜かりなし
水上ボクシングで、盛大に落水したりして「健康への影響は大丈夫?」と心配になってしまいますが、運営者はかなりの自信のようで、「常に水質をチェックし、薬品などは極力使わず、充分に酸素を送り込んでいるので健康への被害は問題なし。棲んでいる魚も大事な水質のバロメーター」と胸を張ります。
マーケット内には至る所にゴミ箱が設置されており、喫煙もトイレ周辺のみでそれ以外は外に出ることになります。
環境への影響を証明するべくマーケットの北側には、畑や田んぼを開墾し可能な限り自然と共生していく事を目標とし、そのために農業体験ができる宿泊施設を現在建築中とのこと。
また、季節によってはヒマワリ畑も見ごろになります。
市井のタイ人も楽しめる観光地としても、自然との調和を図りながらの発展を目指す企業の取り組みとしても、ナビが大いに注目する「パタヤ フローティング・マーケット」。車がないと少し不便な場所にありますが、お土産のまとめ買いやブラブラ散歩してお昼ご飯がてらなど、肩肘張らずにノンビリ出かけたいパタヤのオススメ・スポットです。
でも、暑さの中での水分補給と雨が降ると滑りやすくなる木の床には十二分に注意してくださいね。
以上バンコクナビ・パタヤ支局がお伝えしました。