BTS(スカイトレイン)がトンブリーへ

5月15日の開通記念行事の模様

サワディーカポム バンコクナビです。
「まだか、まだか」と皆が首を長くして待っていた、BTSサパンタクシン駅以南への運行がついに開始されました。
その模様をレポートします。

渋滞知らずの強い味方

バンコクを貫くチャオプラヤー川には多くの橋がかかっており、交通の要所となっています。タークシン橋もその1つ。朝夕の通勤・通学時間帯の渋滞はかなり酷いことで有名です。
オフィス街も役所も川の北側に集中しており、南側からやってくる人は橋を渡るか、渡し舟で川を越えてやって来るしかなかったのがこれまで。
1999年に開業したBTS (Bangkok Mass Transit System )シーロム線の最南端の駅、「サパンタクシン駅」では、片道3バーツの渡し舟で川向こう(トンブリー)からやってきた人がBTSに乗り換えて都心へ散るのが日常の光景でした。
そんなBTSシーロム線が、2009年の5月15日、川向こうのクルントンブリー通りに沿って2.2キロ延長され、新たに「クルントンブリー」と「ウォンウィエンヤイ」の2駅が開業し、試験運行開始の運びとなりました。
クルントンブリー通り~タクシン橋~サートーン通りは毎朝大渋滞 クルントンブリー通り~タクシン橋~サートーン通りは毎朝大渋滞

クルントンブリー通り~タクシン橋~サートーン通りは毎朝大渋滞

早朝+雨、それでも大賑わい

激しい雨の中、午前5時からウォンウィエンヤイ駅で開催された記念セレモニーでは、多くのVIPが集まり報道陣もTV・新聞問わず数多く詰めかけ、普段の殺伐とした雰囲気と違って終始和やかに式も進みました。
2008年末のPAD(民主市民連合)による空港占拠閉鎖、年が明けて赤服軍団(反独裁民主主義同盟)の騒動から始まるアセアンサミットの混乱、プーケットでの再開催の延期、景気の悪化など、このところのタイは全くと言ってよいほど明るいニュースがなく、タイ全体が暗く湿ったような雰囲気に包まれている中の久しぶりの「明るいニュース」となりました。

報道陣も早朝からスタンバイ 報道陣も早朝からスタンバイ

報道陣も早朝からスタンバイ

首相も都知事も終始あかるい表情

印象的だったのはこの日のゲストとして登場した、アピシット首相とスクムバン、バンコク都知事。颯爽と登場し、終始明るい表情で報道陣とやり取りしていました。
両者のスピーチの後は、5時49分同駅発の記念列車でウォンウィエンヤイ、ナショナルスタジアム駅の間をノンストップで往復。お目出度い「初乗り」となりました。
ちなみにこの後、首相は一路香港へ。「サバイサバ~イ」とお気楽、ぬるま湯気分のタイといえども一国の首相ともなるとかなりの忙しさのようです。
アピシット首相

アピシット首相

スクムバン都知事

スクムバン都知事

キーリーBTS総裁(CEO)

キーリーBTS総裁(CEO)

暗くて外は何も見えないけれど記念列車は記念列車

記念にパチリ

記念にパチリ

少しだけ「乗りテツ」のケがあるナビのお目当てはこの記念列車。VIPや報道陣と一緒にシーロム線の新しい線路を0番列車で駆け抜けられるとあって、頑張って早起きしたくらいです。
動き出したBTSは揺れるは、瞬間的に停電するは、急ブレーキだはで決して快適とは言えませんでしたが、無事終着のウォンウィエンヤイ駅へ到着。同時に大きな拍手と歓声が上がりました。
約30分間の楽しい列車の旅と相成りました。
行き先表示も完璧

行き先表示も完璧

車内は終始賑やか

車内は終始賑やか

報道陣もお客さんも混在

報道陣もお客さんも混在

当日配られたプレス証と記念乗車券、ポストトゥデー(日刊紙)の特別版

当日配られたプレス証と記念乗車券、ポストトゥデー(日刊紙)の特別版

構内で式典の花をパチリ

構内で式典の花をパチリ

「目的は果たした」ということで、しばし寛ぎタイム

なかなか気合の入った朝食兼軽食。雨の中駆けつけたゲストや報道陣からも好評でした。 なかなか気合の入った朝食兼軽食。雨の中駆けつけたゲストや報道陣からも好評でした。 なかなか気合の入った朝食兼軽食。雨の中駆けつけたゲストや報道陣からも好評でした。

なかなか気合の入った朝食兼軽食。雨の中駆けつけたゲストや報道陣からも好評でした。

午前8時からは市民を乗せて試験運行開始

多くの市民が既に知っていたようで、午前7時半を回ったころから構内は多くの一般の人々で溢れ返りました。何せ8月13日の正式開業までは、今回開通した区間の運賃は無料。
つまり、サパンタクシン駅までは無料な上に渋滞知らずでものの5分で到着。朝のラッシュ時なら軽く30分は掛かるだけに利用者は大歓迎といった雰囲気です。
実際にお話を伺ってみました。
プッサニーさん(18)
この春からチュラロンコン大学の学生に。
この日はサイアムまで用事とかで、せっかくの機会なので利用してみたとのこと。これまではサイアムまで行くのにも1時間近く掛かっていただけに、大きな時間の節約になるとお喜びの様子です。

チッタナンさん(32)
プッタモントン(バンコクの西側の県境に程近い)から通うチッタナンさんは、駅のすぐ近くに車を停め、これからサイアムの職場「サイアムオーシャンワールド」へ。さっそくPARK&RIDEを利用するあたり流石です。
これまで通勤に2時間掛かっていたのが1時間以内に短縮されるとあってご機嫌とのことです。
改札がオープンすると同時に、多くのお客さんがホームへ。中には早速、輪行(電車内に自転車を持ち込み移動すること)するツワモノも。ともあれ、始発列車は概ね満員で無事8時に発車して行きました。

新しい2駅をご紹介。

ウォンウィエンヤイ駅
本日の舞台。クルントンブリー通りのソイ1とソイ4に挟まれた辺りです。少し南東にはウォンウィエンヤイのロータリーがあります。周囲にはこれといった見どころは何もありませんが、家賃が安めのアパートが数多く見られます。今後この界隈の家賃も上昇しそうです。また、駅周辺にはコンドミニアムなどでしょうか、建設中の建物が多く見られます。

クルントンブリー駅
こちらも、周囲は開発中で荒地というか、まだまだ緑が多く残っています。ウォンウィエンヤイ駅以上に見どころは何もありませんが、川沿いのホテルへのアクセスの新しい選択肢として重宝しそうです。今後どれくらい賑やかになるのか楽しみですね。

【おまけ】サパンタクシン駅
これまで、始発駅として活躍してきた同駅ですが、始発の座を譲り渡しました。もともと片側ホームだったこともあり、朝の混雑は想像以上。北側をシーロム方面、南側をトンブリー方面、ホーム中央は共用と、乗降口を差別化してありますがそれでもかなりの混雑で乗客の迷惑そうな顔が印象的でした。

二駅からの運賃はご覧の通り

最高で40バーツ。都民の足として、かなりリーズナブルな運賃です。

最高で40バーツ。都民の足として、かなりリーズナブルな運賃です。


延長されたBTSの2.2キロの新路線。トンブリーまで延びたことで、バンコク都民の新しい足として一気にグレードアップしたように感じられます。

今後、2011年にはペットカセム通りのバンワー駅までの約3キロが完成、さらにスクムビット線もオンヌット駅以南、ベーリン駅まで5.25キロもサービスが開始される予定です。
いつまで経っても完成しないスワンナプーム空港からの「エアポートリンク」のように、あくまで予定ですので頭の片隅に置きつつ、再び開通レポートをお送りできれば嬉しい限りです。
以上、バンコクナビがお伝えしました。
関連タグ:BTSトンブリー

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-05-21

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