【特集】 最近のタイ、実際どうなってるの?

ナビ自身も、今までの状況を振り返ってみました。

平日夜のパッポン通り。奥に入るとかなり人影もまばらです。それでも西洋人の観光客は増えてきたような気がします。

平日夜のパッポン通り。奥に入るとかなり人影もまばらです。それでも西洋人の観光客は増えてきたような気がします。

サワディーカップ バンコクナビです。
2008年末の空港占拠に始まり、赤服軍団による暴動、新型インフルエンザの流行など、タイを訪れる人は激減している昨今。実際の治安や環境はどうなのか、現地に住むナビの目で見た現在のバンコクの様子をお伝えします。


政治問題:民主党政権下、相変わらず続く足の引っ張り合い

精力的に政務に励むアピシット党首。先日初めてお会いしました

精力的に政務に励むアピシット党首。先日初めてお会いしました

長らく続く不安要素、政治の対立をおさらいします。
2006年に発生したタクシン氏の脱税などに端を発したタクシン派と反タクシン派の政権争いは同9月のソンティ陸軍司令官(当時)を中心としたクーデターで一旦決着し、暫定政権として発足したスラユット政権が発足しました。その後、同暫定政権下で行われた下院選挙では、タクシン派が大挙して移籍した「国民の力党」が勝利。サマック前バンコク都知事を新首相として選出。2008年1月にサマック政権が発足しました。
その後、サマック首相が料理番組に出演し報酬を得たことが違憲とされ同首相は失職、同政権下で副首相だったソムチャイ氏が後を継ぎソムチャイ政権が誕生、しかしその後も反政府デモが収まることなく、スワンナプーム・ドンムアン両空港の閉鎖など激しさを増す中、2007年末の選挙違反を理由にソムチャイ政権も短い幕を閉じることになりました。選挙違反によって「国民の力党」は解党、その際にバラバラになった議員の一部が現政権党の民主党の支持に回り、連立政権として誕生したのが現在のアピシット政権です。

これまでの騒動の中心を分かりやすく説明すると、反タクシン派(黄シャツ)の民主化市民連合(PAD)とタクシン派(赤シャツ)の反独裁民主戦線(UDD)の政権の奪い合い(泥仕合)といった状況で、現在のアピシット(民主党・黄色シャツ組)政権に親タクシン派の赤シャツ組が噛み付いている状態です。


「お前はどっちの味方だ?」というブラックジョークが流行りましたが、親会社は「黄色」の味方です

「お前はどっちの味方だ?」というブラックジョークが流行りましたが、親会社は「黄色」の味方です

さて、4月の中頃、タイ正月(ソンクラン)にピークを迎えた、ASEAN首脳会議を狙った赤シャツ組の暴動が起きたのはみなさんも記憶に新しいのではないかと思います。
この騒動の終幕は黒幕と言われたタクシン氏の「支持はしたが指示はしていない」という趣旨の発言を前後して尻すぼみ的に終息に向かい、現在はタクシン派がやや旗色悪しと言った状況で膠着しています。

ナビの知人・友人、日本人もタイ人も西洋人も皆、現在の状況に「飽き飽き」しているのが実情です。
騒ぎが起きる場所はサナームルアン界隈やバンコク西部の政府関連の庁舎が立ち並ぶエリア。通常、BTSなどの公共機関だけでは辿りつけないエリアにあるため、一般の観光客に危害が及ぶことはデモの際の渋滞以外はほとんどありません。
現在のところ赤と黄色のグループが「民主主義」を嵩に交互に暴れあっているだけの状況のように見えますが今後、雌雄を「選挙で」決すべく両色が政党を結成しようとする動きが盛んになっています。

日本人の感覚から言えば選挙で白黒付けば文句は出ないだろうと思うのが普通ですが、ここはタイ。どうなることやら……。多くの現地に住む日本人は「空港の閉鎖だけは勘弁してください」というのが本音のようです。

新型インフルエンザのタイでの経過

5月以降、話題に上がったのが新型インフルエンザ。日本では多くの感染事例が報告されていますが、6月1日現在のタイでの感染者は4名。5月12日に2名、30日と31日に1名ずつの計4名が報告されています。
それぞれメキシコやアメリカから帰国したタイ人で、全員が症状は軽く快復しています。また感染者の周囲からの発症にも充分注意しているようで、30日と31日に感染が報告された2例については現在、当局の管理下に置かれています。
国内ではマスクを装着した人を見かけることはほとんどなく、パニックも見られませんが、空気の悪いバンコクだけに軽く咳き込むとなんとなく注目されているような気にもなります。
タイの新型インフルエンザに関する情報は保健省のウェブサイト
http://beid.ddc.moph.go.th/eng/
でも確認することができます(あまり頻繁に更新している形跡はありませんが……)。


現在、新型インフルエンザと同じく注意が必要なのはデング熱です。
媒体となる「ネッタイシマカ」という蚊がデング・ウィルスを体内に持っている状態で刺されると、1週間程度の潜伏期間で発熱し死に至る事もある病気です。
基本的に対症療法しか治療法は無く、最大の予防は「特に日中、蚊に刺されないようにすること」と言われています。

こちらはドラッグ・チェーン店「Boot's」で販売している虫除けローション。1回塗ると5時間程度持続します。お値段は150B。奥に見えるのは伝家の宝刀「アース・ゴールド(殺虫スプレー)」。必需品です

こちらはドラッグ・チェーン店「Boot's」で販売している虫除けローション。1回塗ると5時間程度持続します。お値段は150B。奥に見えるのは伝家の宝刀「アース・ゴールド(殺虫スプレー)」。必需品です

ネッタイシマカは特に日中活動することが知られており、思いがけない場所に潜んでいる場合もあります。ナビの知人の女性は高級コンドミニアムの高層階に住んでおり、日ごろから充分に気を使っていたつもりにもかかわらず、具合が悪くて病院に行って見ると「デング熱」であることが判明。快復後、原因をさぐると自室のベランダの鉢植え観葉植物の裏に「蚊がビッシリ!」だったとか。まさに灯台下暗しですね。

さて、蚊に刺されないようにするのに有効なのが「虫除けスプレーやパウダー」タイでは「コーヨー15(シップハー)」という薬が有名で、他にも数多くの「虫除け」が売られています。
また、一般の蚊にたくさん刺されたときもデング熱ほど症状は悪化しませんが、軽い発熱が起きることもあります。たかが「蚊」、されど「蚊」に刺されて生死の境をさまよう様な羽目に陥らないためにも充分ご注意下さい。


タイは相変わらず元気です。

トンブリーまで繋がったBTSシーロム線

トンブリーまで繋がったBTSシーロム線

政情不安や不景気などマイナス要素がやたらと多い昨今ですが、市井の様子は相変わらず「サバーイ&サヌック(お気楽&楽しい)」のいつものタイの光景です。加えるならば「セタキット マイディー(経済が宜しくない)」が合言葉になりつつある感じです。観光立国タイに訪れる観光客が減少している現在、致し方ないと言えます。
明るいニュースと言えば、BTSが川向こうのトンブリーまで延びたこと。気軽に出かけられる行動範囲が増えました。
またスワンナプーム空港と都内を結ぶ新路線「エアポートリンク」も一部開通が迫っています。
一方、日本に関係したニュースで連日新聞紙上を賑わせているのは日本人男性を肉親に持つ「孤児」の親探し。最近は他国に飛び火(?)し、アメリカ人やドイツ人の父親を探す子供もいるとか。一時はどこに行ってもナビが日本人と分かった瞬間にこの話題になり、他人事なんだけど他人事ではない状況に四苦八苦といった状況でした。
タイの暗い部分に目を向けたときに避けては通れない問題だけに、筋道を立ててキッチリ処理して欲しいと思います。


最後に、現地在住のナビが感じるのは「日本の報道は余りに大げさすぎないか?」という点。「住めば都」というだけあって我々の感覚が麻痺している可能性を差し引いても、タイが好きだからタイで暮らしている此方から見れば「言い過ぎでは?」と思えることもしばしば。
実は、今回の新型インフルエンザ、日本で多くの患者さんが出ていることもあり、タイ国内では「日本は危ない?」と思われている節もあります。マスクをはめた日本の様子が新聞の1面を飾ることも。日本国内では早期に発見されるため重篤患者は少ないといった情報はかき消されてしまいがちです。

お互い、海の向こうの事ですから正確な情報を入手するのは困難ですが、より多くの情報を入手しようとすることは可能ではないでしょうか。
バンコクナビも今現在の「リアルなタイ」の情報をより早く、正確にお届けできるよう努力していくつもりです。その結果「今のバンコクは大丈夫だ。遊びに行こう!」とみなさんに思ってもらえる日を一日千秋の思いで待ちたいと思います。
今後ともバンコクナビをよろしくお願いします。

以上、バンコクナビがお伝えしました。



【参考資料】
最近のタイ情勢と日本・タイ関係
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/area/thailand/kankei.html
Wikipedia デング熱
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%86%B1
バンコクポスト(タイの英字新聞)
http://www.bangkokpost.com/
関連タグ:治安安全情報

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-06-02

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