パックブーンファイデーン

空芯菜の炒め物 / ผักบุ้งไฟแดง


パックブーン、つまり空芯菜の炒め物です。えぇそうです、葉っぱを炒めただけの料理です。しかぁぁし!侮るなかれ、料理に限らずシンプルなものほど奥が深いのは、この世の鉄則。
ファイデーンとは、タイ語で『赤い炎』。そう、パックブーンファイデーンとは、空芯菜を強火で炒めるだけ、まさにその単純さゆえに、火加減と時間の一本勝負、炎の料理なのです。

このパックブーンファイデーンは、東南アジア全域に見られる料理であり、特にタイ料理の中では、最もポピュラーなもののひとつです。
空芯菜を、大豆を発酵させた味噌風味のタレ(つぶ大豆入り!)と濃厚で甘みのある黒醤油で炒め、アクセントに、にんにくと唐辛子を効かせます。
パックブーンは空芯菜という名前の通り、中は空洞になっていて、シャキッと噛むと、中からコクと甘みの凝縮したタレがジュワッと染み出し、それを唐辛子がぴりっと引き締めます。
さぁ、一口食べたが最後、シャキッ!ジュワッ!ゴクッ!のサイクルから抜け出すのは容易なことではありません。あ、“ゴクッ”はビールが喉を鳴らす音です。効果音として勝手に入れてしまいましたが、この料理はビールにめちゃくちゃ合うんですよー!
タイ北部ピサヌロークでは、炒めあがったパックブーンファイデーンを料理人がエイヤッと空中に放り投げ、それを従業員、希望すれば客本人が皿でキャッチする、というアクロバティックなパフォーマンスで有名な店もあります。
しかし、そんな大技を使って気を惹かずとも、パックブーンファイデーンは、庶民の、庶民による、庶民のための、愛すべき料理なのです。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-08-17

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