体当たり異文化初“タイ”験、最終回~目指せ! 異文化をも呑みこむ大きな器

在タイ歴の長いナビには、もはや感じえない新鮮な感覚を新人リポーターが激白!? 最終回

超合理的? 駐車場

テスコ・ロータスやカルフールといった大型スーパーや都内のショッピングモールなどでよく見られる、日本ではあまり見かけない駐車風景。
駐車場は通常、十分な幅の通路と線で区切られた駐車スペースが設けられていて、そのスペースに整然と駐車します。しかし、お昼時や夕刻、休日など、込み合ってくると駐車スペースに収めてある車の目の前を塞ぐ形で車を止めている人が多数。
そんなことして大丈夫なのかと最初はびっくりでしたが、この駐車方法をする際には、サイド・ブレーキを引かず、ギヤをニュートラルにし、ドアをロックして車を離れる、そういうルールがあるようです。そうすれば、もし塞がれてしまった車の持ち主が先に戻ってきたとしても、何人かでその車を少し動かせば出庫できる仕組みです。
(編集部注)1人でも余裕で動きますが、力加減を間違うと……

はた迷惑な話ですが、かなり高度な土地の活用テクニックと言えるかもしれません。ただし、その持ち主がサイドブレーキを引いてしまったまま出て行ったとしたら最悪です……。

ぼったくり? 勉強代? ~外国人料金

昨年9月のタイ旅行でのことですが、バンコク在住の日本人の知人と一緒にカンチャナブリーへ行き、クウェー川を列車で渡ろうと鉄道駅に行きました。切符は知人が買いに行ってくれたのですが、同じ区間でタイの人は確か5バーツ、外国人は100バーツだと言われたということを記憶しています。
ちょうどその頃行われていた景気対策の一環と聞きましたが、税金を払っていない外国人はその恩恵を享受する権利はない? それとも、外国人はお金を持っているのだからきっちりと徴収するのは当然? どういう根拠なのかは忘れてしまったのですが、納得できるようなできないような。
王宮やワットポー、その他各地の観光地において全てそうだったかどうか、記憶が定かではないですが、「外国人は別料金」「外国人からは高く取る」というのは当たり前の事なのでしょうか?
比較して日本の場合を考えてみると、もともとの物価が世界一クラスに高いこともあり、一概には言えないにしても、鉄道でもバスでも、京都の観光地でもどこでも、外国人だから割増料金というのは原則的にはないと思われます。反対に、割引JR周遊きっぷがあるくらいで。
ここ半年~1年くらいの間に立て続けに起こった、タイの国内政治情勢その他の問題で、観光客離れが懸念されているようなので、最近は観光ビザの手数料を無料にするとか、色々と観光客優遇策を実施しているとも聞きます。
でも、情報が不十分でよく分からなかったり、一貫性がなかったりなど、タイの行政は外国人に対して親切であるとは必ずしも言い切れないように感じます。
そうは言っても日本人がタイを旅行するという時点で、物価の違いの恩恵を享受している訳なのでしょうから、多少の違いなら大目に見て払うとか、チップは気前良く渡すとか、予算の範囲内で太っ腹になった方が、お互い気持ち良くスムーズに行くようにも思います。(変な話ですが、何かトラブルなどで警察や役所など公的機関で交渉をしないといけないような場合でも、お金で解決したりするという噂話をよく聞きますが、果たしてそれは事実なのでしょうか??)
(編集部注)残念ながら事実です…。しかし、これのお陰で九死に一生を得ることもまた確か。

難解なチップのやりとり

基本的にはタイにはチップの習慣はないという風に聞いたことはあります。実際に、ホテルやレストランなど、サービス料やVAT税が既に含まれているので、お勘定の時に別にチップを置かなくても何の差し障りもないのだとは思います。
旅慣れていない日本人の僕にとっては、チップの習慣というのは非常に馴染みにくい、難しいもののように思えます。今は少し慣れてきたというのか、大体の場合は端数の小銭を置いていくように心掛けています。ただ、そもそもなぜチップなのかというのが、いま一つ良く分かっていないので、例えばレストランで、接客の態度や料理の内容などに満足できなかったら渡すべきではないのか? とか、山手線で席を譲ろうとしたら「私はそんな老人じゃない」と逆に怒られてしまった時のように、チップを渡すことが逆に失礼になりはしないだろうか? とか、余計な事を色々と考えたりします。
これはバンコクではなくシンガポールでの話なのですが、ホテルに泊まった際に計算を間違えてチップにしては結構高額な紙幣を置いてしまいました。そのせいなのかどうか、ミネラルウォーターが通常の倍の4本になり、インスタントのコーヒーや紅茶もふんだんに置かれていました。これもまたコミュニケーション上の潤滑油ということのようです。
これとは逆にバンコク都内でタクシーに乗った時、メーターは71バーツだったので100バーツ札を渡したのですが、おつりは20バーツ札1枚のみ。小銭を持っていなかったのかも知れませんが、あらかじめチップ分をを差し引かれたような気がしてちょっと不愉快な気分に……。
チップの習慣は慣れるまでは難しそうです。

動物と共に……

バンコクに来て以来、今でもかなり困惑させられるもののうちの一つに、路傍の犬が挙げられます。
ガイドブックにも、犬に噛まれたらすぐに病院に行って手当をしてもらわないと大変なことになるというような注意が書かれていたりするので、念のため警戒しながら現在も日々過ごしています。
バンコクではほとんどの地域で放し飼いの犬(または野良犬)に遭遇します。日中は暑さのせいもあってか、人通りの多いところでもお構いなくグダーっと寝ていますが夜になると一変、水を得た魚のように走り回ったり。明け方などは群れになって吠えていたりと、かなり難敵です。
最初の頃は犬のそばを恐る恐る通り過ぎていましたが、最近は少し馴れてきました。吠えかかってくる犬のほとんどは道端に寝ていたり座っていたりする犬ではなく、マンションとか民家や企業などの敷地内にいる犬のようです。ある意味番犬としての役割を忠実に果たしているということなのかもしれませんが、いずれにせよ油断は禁物だと思います。

また、スクンビット通りでは夜になると象が歩いているのをよく見かけます。これもまたびっくりです! 果物や野菜を通りがかりの外国人が買って象に食べさせるという、見世物というのかショーというのか、そのようなものらしいです。とはいえ、もともとは農村部にいたものの、いろいろ事情があって都市部に出てきてこのような暮らしをしているらしいとか。プーケットに行った時には実際に、山林で枝木の運搬をしている象の姿も見られました。
ちなみに今現在、僕が住んでいる近所ではお寺で牛を飼っていたり、道端に放し飼いの鶏がいたりカエルもいたりネズミもいたり。また、バンコクから少し離れたロップリーという町では、繁華街の到る所に猿が出没していたり……などなど。さながら動物園の様相で見ていて飽きません。

郷に入っては郷に従うべき?

バンコク在住・勤務の知人がいる関係もあり、タイの人と一緒に仕事をすることの大変さ困難さを色々と伝え聞いたりします。「プライドが高く注意できないので非常に神経を使う」とか、「自分の都合の良いように解釈を曲げて言う」とか、「責任感などの感覚が日本人と違う」とか枚挙に暇がないようです。
特に日本や海外の会社との取引で、タイならではの感覚に理解を持って貰えないような場合にはひと際苦労が多いとか。
そのような話を聞くと、タイ人は何と我儘でルーズなのだと第三者の私まで呆れ返って腹立たしくも感じたりすることもしばしば。ですがそれは全くもって文化の違いでしかなく、どちらが正しいのかどうかは何とも答えようがないようです。
現在のタイは資本主義の理念が流れ込み、貨幣経済が浸透し、生産性や経済性に価値基準が置かれることが主流になっているようなので、そういう視点からすれば、
「もっと合理的にスピーディーに物事を運べばいいのに」
とも思いますが、それでもタイ人に言わせれば、
「どうして日本人はそんなにあくせくしているの?」と感じられるそうです。


目指せ国際人!
バンコクは人口約800万人の近代的な大都市ですが、ふた昔前の日本のような雰囲気も併せ持っているようにも思います。中心部から少し外れると、未整備の街路や古ぼけた建物。ネズミも走り回り、一雨降ると排水溝があふれて大洪水。今の日本だと考えられられない状況が日常茶飯事ですが、街の人々は終始穏やかで活気にあふれています。
ガラスやコンクリートで塗り固められたピカピカの場所が必ずしも幸せの象徴ではなく、色んな物・人・できごとが混沌と存在することを許容し共存するのがタイの特徴で、それくらいのちょっとゆるい感じの方が、ある面で幸せなのかもしれないと感じるようになってきました。

現在僕は旅行者としてやや長期でバンコクに滞在し、色々と見聞きしているわけですが、それが国際人への第一歩として、「郷に入っては郷に従う」グローバルな視点を身につける役に立てばこれ幸いと、日々楽しんでいます。
みなさんも、日本から1歩外の世界へ踏み出して「異文化」へドップリ漬かってみてはいかがですか? 自分の中に新しい価値観が生まれてくること間違いありません。それが良きにしろ悪きにしろ、みなさんの世界を広げる一助になると思います。

【この項終わり】

その他情報

レポーター: Satoshi  年齢: 30歳中盤 出身地: 鹿児島 滞在歴: 0年数ヶ月 趣味: 食べること位しか…。 コメント: マイル~♪、マイミ~♪ シリーズ名: 食べること位しか…。 
関連タグ:異文化交流タイの文化

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記事登録日:2009-07-06

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