タイ人を鼓舞し続けるカラバオの魅力とは【前編】

タイ人で知らぬ人のない“カラバオ”、彼らの魅力は生のステージにあり。

サワディーカー バンコクナビです。
タイ人はカラバオを“プアチーウィット(人生のための歌)”のバンドと呼びます。演奏活動30年近くになろうとする彼らの、何が今も人々を惹きつけるのか。タイのライブ事情も交えながら彼らを紹介したいと思います。ファンの方々には彼らの近況を知る縁(よすが)になればと思います。

カラバオって何? 

カラバオというのはタイの有名なバンドの名前です。その演奏活動歴は30年近くになります。バンドを率いているのがリーダーのエート・カラバオ(本名ユーンヨン・オーパークン)です。これまでにメンバーの交代などもありましたが、現在は8名で演奏しています。写真はリーダーのエート・カラバオ。

その名の由来

若き日にフィリピンで大学生活を送っていたエートは、同じくタイから来ていた仲間に声をかけ、バンド活動を始めました。そのバンドに彼は“カラバオ”と名付けました。カラバオとはフィリピンのタガログ語で“水牛”を意味します。水牛はつらい農作業を共にすることから、農民の苦しみや忍耐などを表す言葉でもありました。これがカラバオバンドのスタートでした。写真はエートのスタジオ入口のカラバオマーク。
 

どんな歌を歌っているの?

タイの音楽には“プアチーウィット(人生のための歌)”というジャンルのようなものがあります。タイ人はカラバオをプアチーウィットのバンドと呼びます。彼らは、社会のかかえる様々な問題や人生を歌っています。たとえば貧困や対立、望郷の念などなど。

カラバオを知らなくても在タイのみなさんならきっと耳にしたであろう曲があります。
04年暮れに起きたスマトラ沖地震による津波はタイでも多くの被害をもたらしました。エートも身内ともいえる親しい知人をその災害で亡くしています。彼はすぐに鎮魂歌ともいえるアンダマンの涙を作曲しました。その歌は救助活動を映しだすTV画面を通じてずっと流れていました。
また、タイ南部における紛争は未だに解決の糸口が見いだせていません。そうした社会情勢に向け「タイ人の心はひとつじゃないか!」と歌ったクワーンタイチャイヌンディアオも、ひところTVで繰り返し流れていたので耳にされた方もいらっしゃるでしょう(この曲は最近またTVで流れています)。

2時間のステージは新旧とりまぜた曲目が披露されます。古い曲が回顧でなく今なおアツい歓迎を受け、支持されている様には驚かざるをえません。“メイドインタイランド”“ジャオタック”“ガンジャー”“ブアローイ”“タレーチャイ”などなど。

 

演奏しているのはこんな人たち

エート:ボーカル、ギター

エート:ボーカル、ギター

レック:ボーカル、ギター

レック:ボーカル、ギター

ティアリ:ボーカル、ギター

ティアリ:ボーカル、ギター

オット:ギター、ボーカル

オット:ギター、ボーカル

ドック:キーボード、トランペット

ドック:キーボード、トランペット

ミー:ギター

ミー:ギター

ゴー:パーカッション

ゴー:パーカッション

ウアン:パーカッション、サックス、クルイ

ウアン:パーカッション、サックス、クルイ

ほぼ連日ライブを行う

カラバオは、ほぼ毎日タイのどこかでライブを行っています。ステージは約2時間に及びます。前半エートがリードボーカルをとり、その後ティアリとレックがそれぞれリードボーカルをつとめ、最後は全員のステージとなります。

彼らの何が人々を惹きつけるのか

演奏活動は30年近くに及び、今なおライブで会場をわかせているカラバオ。いったい彼らの何が人々を惹きつけているのか。
どちらかといえば暗く悲しく重い歌詞を、サムチャーと呼ばれるノリの良い、楽しいタイロックのリズムに乗せたこともあるかもしれません。また、タイ人の聴衆は、その歌詞に共感や希望を見出している面も大きいと言えるでしょう。しかしそれは言葉のわからない外国人も感動を受けることの説明にはなりません。では感動はどこからくるのか。

まず、ライブでのエートの歌声が聴衆の心をとらえます。彼の声は私たちが日ごろ無意識にガードしている己の心に、そうしたガードをするりと突き抜けるように届いてきます。それは、自分が今生きているということを思い出させる感覚でもあります。大げさにいえば、エートの声は人々の心を解放させていく。聴衆を前にした時の彼の歌声、それはCD等に記録された音では伝わりきれない生命力を持っています。
その後ボーカルが交代しそれぞれ違った個性・魅力の饗宴となります。重なる音の楽しさに、心地よい時間が過ぎて行きます。各自の音楽的テクニックは揺るぎなく、約2時間というもの、たたみかけるようにひたすら演奏が続きます。
心が解放されていく心地よさ、さまざまな個性の魅力、テクニックに裏打ちされた演奏の楽しさ…これらが聴衆を惹きつけてやまない彼らの魅力でしょう。


カラバオはどんな所でライブを行っているのか。タイのライブ会場事情などについて、また改めてお伝えしたいと思います。(12月2日~6日タマサート大にてライブ“Pun daow kuen din Charity Concert”thaiticketmajorより)

以上バンコクナビがお伝えしました。

関連タグ:カラバオライブコンサート

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-12-11

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