コラム~タイの花・草・木 第2回

おかだかおるのコラム第2回~バイメーンラック、ガーロン、チョンコー

サワディーカー バンコクナビのおかだかおるです。
みなさん、明けましておめでとうございます。タイは乾季に入りこの時期(1月)がベストシーズン。暑すぎず、丁度よい気候で常夏気分を満喫できます。
今年も定期的にタイの旬の植物をご紹介していきます。少しずつ覚えていけば、街で見かけたら嬉しくなれて、食べたら健康になれて、名前を知っていればタイ人の友達にビックリしてもらえるかもしれません。
では、スタートです。

File.4  バイメーンラック ใบแมงลัก

1日に7本食べたら長生きする? 葉と種をおいしく食べる。
バジリコ(伊)またはバジル(英)と呼ばれる物はタイに数種類あります。メーンラックもそのひとつ。数種あるバジルはそれぞれの香りを生かし、タイ料理にふんだんに使われています。値段も安く市場になくてはならないハーブです。
メーンラックの葉バイメーンラックは、生のままカノムチンと一緒に食べるスタイルがおなじみですが、スープの材料にも使われます。またメーンラックの種メットメーンラックも食用に。水にひたした種はプルッとした蛙の卵のような姿になります。豆乳に入れたりしてその舌ざわりや喉越しを楽しみます。種はグルコマンナン(コンニャクの主成分)を含むことから、ダイエット食品と言われることもありますね。
タイ人は、メーンラックは“1日に7本食べたら長生きするハーブ”とも言うようです。要はその国や地域でとれる物を大切に体に取り入れることが健康につながる、ということでしょうか。

File.5  ガーロン กาหลง


Snowy Orchid tree。花は食用にもなります。
花弁の質感がまるで造花のようです。ガーロンの木の高さは数メートルになり、その葉はとても特徴のある形をしています。馬蹄形といいますか、丸っこいハートのような形をしています。
花は鑑賞用としてだけではなく、炒め物にしたりゲーンソムに入れたりもするそうです。鑑賞用でありかつ食用にもなるという木の花、はて日本にもあるでしょうか。頭をひねった末に浮かんだのが“桜”です。満開の桜、散る桜、どちらの光景も何か胸に迫ってくるものがあります…。花見を楽しみ、塩漬けにした花を桜湯としてたしなむ、と。
ガーロンの効能について、タイでは次のように言われています。花の部分は頭痛をやわらげてくれ、木の皮は咳を鎮めてくれる。樹皮といえば桜のそれも、日本では咳にきくとされてきたようですね。ガーロンと桜、思わぬところで接点がありました。

File.6  チョンコー ชงโค

タイではlucky plantのひとつ、そして香港では…?
タイには幸運をもたらすと言い伝えられている植物がたくさんありますが、このチョンコーもそのひとつです。控えめに香るこの花は直径10センチくらい。木の高さは10メートルほどになります。大ぶりな花をたくさんつけた様子は、羽根つきの羽を上から播いたかのようです。
この葉はガーロンの葉と同じく丸っこいハートのような、蝶々のような形をしています。実はガーロンとチョンコーは同じ『バウヒニア』属。葉の形がほぼ同じなのも納得です。バウヒニア属の植物は種類が多く、中には見分け難い物もあります。写真はクイーンシリキット公園に咲いていたもので学名Bauhinia glauca、クライミング・バウヒニアと呼ばれる物。これとそっくりなパープル・バウヒニアもタイではチョンコーと言います。バウヒニアの一種にHong Kong orchid treeがあります。このバウヒニアは“香港”とあるように香港を象徴する花なのです。香港の旗の5つの花弁はこの花をデザインしたものです。

いかがでしたか? タイでは花や草木が民間療法として人々の生活に深く根ざしています。日本でも古くから(田舎やご年配の方の間では今でも)このような、「○○に効く」植物というのが多く合ったはずですが、時代の流れにつれ少しずつ廃れてきたようにも感じます。
筆を進めるにつれて、そんな日本人の古い記憶を思い起こしているような、どことなくノスタルジックな思いにもかられます。
また次回お会いしましょう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2010-01-04

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